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zoom RSS 不条理寝台ファンタジー

<<   作成日時 : 2010/08/01 12:45   >>

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※初出は「知事認可:岩手県カイロプラクティック協同組合」発行の「ほねっこくらぶ通信:第54号(2009年10月)」。(原文のまま)



 まったくもって秋である。


 特にも、出張続きで岩手を留守にする事が多い場合、ヤツは『駆け足』どころか『猛ダッシュ』の勢いで迫ってくる。新幹線から降り立ったホームで、木枯らしに紛れ、私に襲い掛かるのだ。『そんな薄着じゃ風邪引くぜ』と言わんばかりに…。


 そういう意味で、私にとって今年の秋の訪れは『猛ダッシュ』どころか『ボルトの後半50m』並みのスピード。何せ、今月だけでも関西方面に3往復、関東方面に1往復をこなす強攻スケジュールであったからだ。


 そんな『北海道某ローカル番組』出演者もビックリな『移動芸人』っぷりを期せずして披露する私の強い味方と言えるのが、『深夜バス』&『寝台特急』である。


 昨今の世界的経済状況から、前者の人気は益々高まってきている様であるが、後者は新幹線や飛行機に押され衰退気味。路線も次々に廃止されている。


 そんな中、『非高級路線・実用派寝台』で気を吐く数少ない列車が、私の愛用する『サンライズ号(東京‐山陰or四国)』である。


 このサンライズ号、少々面白い車両構成になっており、1車両だけ『のびのびシート』という名称の下、『フェリーのカーペット敷きの雑魚寝スペース』と『上下2段のカプセルホテル』をブレンドした様な座席が用意されている。


 つまり1人1人が横になれるスペースは『指定席』形式で確保されているものの、隣席との敷居は顔が隠れる程度しか設置されておらず、完全な『個室』ではない。


 更に面白い事に、膝掛毛布が置いてあるだけで、枕や布団が配備されておらず、所謂『横にはなれるケド普通指定席』扱いなのだ。その為、この席は『寝台料金』が掛かからず、身体には少々堪えるが、財布には大分優しい。


 従って、常に人気の集中する座席ではあるのだが、個室でないのをいい事に、稀にマナーをわきまえない団体客が夜遅くまで車座になって『賑やか』にする場合がある(不思議な事に、その様な輩は40〜50代の男性客に多い…普段よっぽど抑圧されているのだろうか…)。


 ただそんな時、無駄に正義感の強い私は率先して集団へ注意し、大抵の場合(私の容姿も影響して!?)聞き入れられるのだが…。


 その日は、お城のあるH市から東京へ向けてサンライズ号に乗車。時刻は間もなく日付が変わろうとする頃。


 ところが、『のびのび車両』に入るや否や不穏な空気を察知。


 明らかに不服そうな隣席の女性に声を掛けると、消灯時間後にも拘らず騒ぐ集団があり、何度か注意しても収まらないとの事。見れば向こうに10名以上で座席にたむろう推定40代後半の男性集団。


 『乗客間の善意の注意喚起』に応じない場合、これは乗務員に任せるのが得策である。私は女性に『車掌を呼んでくる』と告げ、件の集団を横目に、頼まれてもいない尋ね人探しの旅に出た…(BGMは『暴れん坊将軍』)。


 鼻息荒く早歩きで進む事、数分。


 しかし気付けば先頭車両。通路を歩く人影皆無。


 や…やっちまった…。個室を改札する車掌とどこかで入れ違いになっちまった…。


 急いで車両へ戻ると、既に先程の不穏な空気は薄れている。


 女性に聞けば、私が車両を出て行った直後に車掌が現れたので、自分から状況を告げ、注意してもらったとの事。集団は徐々にばらけ始めている。


 張り切ったオレってば…か…かっちょ悪ぅ〜。


 女性の『とりあえず…ありがとうございました』という所在無げなお礼の言葉に心を掻き毟られながら、私は毛布を被り不貞寝を決め込んだのだった…が…。


 数時間が経過しただろうか…。私は夢現に聞こえる怒声で目を覚ました。


 寝起きの為、最初は状況をよく把握できなかったのであるが、『騒音』の発信源は車両を繋ぐデッキの様である。


 耳をそばだてると、何やら乗客らしき男がヒステリックに喚き立てている。曰く『こっちは金を払っている』だの『降りろとは何事だ』だの…。


 ここで私はハッと気付いて身体を起こした。目を凝らすと、乗車した時に騒いでいた集団の席に数名分の人影がない!!


 どうやら私が意識を失っていた数時間で、また一悶着あった様だ。大方、度重なる注意の中で、車掌が発した『このままだと降りてもらう』的な言葉に激高しての事であろう。車内は再び不穏な空気に包まれ、数人が起きて様子を伺っている…というか安眠を妨げられている気配。


 一向に収まる様子のない『不快音』に、私はため息混じりに腰を上げた…。


 デッキに通じる自動ドアを開けると、まずは男性2人(以下、デキオ=デッキ男)と目が合う。

 
 まさかこの修羅場に部外者が顔を出すとは思っていなかったのであろう、驚いた顔でコチラに目を向けるが、無言で睨み付けると急いで視線を外す。


 デキオを脇に追いやり通路に出ると、詰め寄られて泣きそうな顔の車掌(以下、ダメオ=駄目男)と、まさに掴み掛からんばかりの体勢の小柄な男性(以下、エテオ=猿男)が。


 エテオは最初、『何や兄ちゃん!!あっ!?』と威嚇をしてきたが、コチラが黙って睨み続けると次第にトーンダウン。終いには、『うるさかったですかね…スミマセン』と見事な腰砕け状態へと陥った…。


 さぁ、上手い事この場を治めてくれよ!!


 私は無事制圧したその場の主導権を本来の管理者へ返すべく、視線のキラーパスを送ると…。そこにはテンパってオロオロする挙動不審なダメオが!!


 エェ〜!!!!あんたが締めんで誰が締めるん!?


 均衡が微妙に崩れた雰囲気へつけ込んでデキオが食って掛かる。『兄ちゃん、この車両は普通指定席だから寝台じゃない。静かに寝たかったら寝台席取りぃ…』。


 そこに毅然と私、『新幹線でもうるさい人には注意しますがナニか?』。


 またまたクリーンヒット!!そしてダメオを見る。相変わらずのパニクリ顔。駄目だ…使えん!!


 そうこうする内にエテオ復活。『何じゃ兄ちゃん!!やったろうかぁ!!』。


 そこへダメオ登場。『まぁまぁお客さん…折角旅で出会った者同士なんですから…喧嘩はやめて…』。


 エェ〜!!!!あんたの立ち位置ナニ!?心中で全力ツッコミをする私。


 コチラが手を出さないと分かるや益々威嚇行動を取るエテオ。無視する私。


 遂に手を出し私の顔を掴むエテオ。その手を払いのけ冷静に周囲へ言い放つ私、『手を出したって事は…わかりますよね…?』。


 焦るデキオが提案、『車掌サンよぉ、この兄ちゃんに空いてる個室を用意してやって後はアンタとコチラで話しをつけよう』。


 オイオイ、そういう問題じゃねぇだろう…!!


 『それではお客様、ご案内致します!!』とダメオ。


 エェ〜!!!!そのアイディアに乗っちゃうのぅ……!?


 深夜の不毛なやり取りは結局、もう一人の車掌が現場に駆けつけるまで続くのだった…。


 翌朝の到着間際、件の集団を見やると皆一様に意気消沈。酒に酔っての事だったのだろう。


 私個人が警察に突き出す事も可能であったが、コチラも寝不足でそこまでの元気はない。早く岩手へ帰ろう…。


 そんなアンニュイな雰囲気が漂う車内。


 そこへ招かれざるダメオが入って来て、誰へともなしに能天気な大声で一言、『昨晩は大変ご迷惑をお掛けしましたぁぁ〜…』。


 お前を警察へ突き出してやろうか!!!!(その後、JRのお客様センターへクレームを入れたのは言うまでもない…)。

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